収入と手取り

軽貨物ドライバーの手取り|売上から経費と税金を引いていくら残るか

会社員から軽貨物の開業を考えている
売上が月50万円なら、経費と税金を引いて、いくら残りますか?記事によって30万円とも40万円とも書いてあって、どれを信じればよいか分かりません。
編集部
売上から何を引いたかで額が変わります。経費だけを引くと月約41.8万円、税と社会保険料まで引くと月約31万円です(この記事の前提の場合)。

軽貨物の売上が月50万円のとき、経費、税金、社会保険料を引いた手取りの目安は、1か月あたり約31万円です。 売上が月40万円なら約24.2万円、月30万円なら約16.9万円になります。

この額は、次の前提で計算した目安です。

  • 新車の軽バン(スズキ エブリイ PA の最も安い価格)を買い、3年で減価償却する
  • 委託手数料はかからない(委託元から報酬を直接受け取る)
  • 月に22日、1日100kmずつ走り、ガソリンは仮に1Lあたり170円とする
  • 任意保険料は仮に年10万円とする
  • 青色申告特別控除65万円を受ける、35歳の一人暮らしで、国民健康保険は東京都新宿区の2026年度の料率

手取りは、売上から次の3つを順に引いて出します。

  1. 委託手数料(仲介する会社に払う分。かからない契約もある)
  2. 経費(燃料、車の減価償却やリース料、車の税と保険、そのほかの費用)
  3. 税金と社会保険料(所得税、住民税、個人事業税、国民年金、国民健康保険)

上位の記事で手取りの額が割れているのは、この3つのうちどこまでを引いたか、車の費用をどう入れたかが記事ごとに違うからです。 税と社会保険料の計算は、所得税法と地方税法の税率、日本年金機構と新宿区の公式の値(2026年10月21日に確認)を使い、扶養する家族がいない前提などで簡略化しています。 実際の税額と保険料は、確定申告と市区町村の決定で決まります。

売上から手取りまでに引くもの

軽貨物ドライバーの多くは、委託の契約で働く個人事業主です。 会社員の給料と違い、受け取る報酬から税金や社会保険料が天引きされないので、売上から自分で経費を引き、税金と保険料を申告や納付書で払います。

委託手数料は、委託元と自分のあいだに入る会社が、売上から差し引く分です。 委託元と直接契約して報酬を受け取る場合はかかりません。 手数料の率か額は契約で決まり、公式に公開している会社は見つかっていません。

経費は、売上を得るためにかかった費用で、国税庁は「総収入金額を得るために直接要した費用」と「業務上の費用」としています。 軽貨物では、燃料、車の減価償却費かリース料、車の税と自賠責、任意保険、車検、携帯電話の通信費などが当てはまります。 私用にも使う車や携帯電話は、業務に使った分だけが経費になります。 項目ごとの扱いは「軽貨物の経費の内訳」にまとめています。

税金と社会保険料は、売上から経費と青色申告特別控除を引いた所得をもとに決まります。 個人事業主が払うのは、所得税と復興特別所得税、住民税、個人事業税(所得が290万円を超える分)、国民年金、国民健康保険の5つです。 国民年金は所得にかかわらず月17,920円(2026年度)で、ほかの4つは所得が増えるほど上がります。

売上30万、40万、50万円の手取りの計算例

前提をそろえて、売上だけを変えたときの1年分の額です。 計算は、このサイトの手取りの計算と同じ式で行いました。

項目(1年) 売上 月30万円 売上 月40万円 売上 月50万円
売上 3,600,000円 4,800,000円 6,000,000円
経費 982,794円 982,794円 982,794円
売上 − 経費 2,617,206円 3,817,206円 5,017,206円
所得税と復興特別所得税 24,600円 79,300円 168,700円
住民税 114,200円 221,500円 328,800円
個人事業税 0円 45,800円 105,800円
国民年金 215,040円 215,040円 215,040円
国民健康保険(新宿区の例) 229,708円 356,668円 483,628円
税と社会保険料の合計 583,548円 918,308円 1,301,968円
手取り(1年) 2,033,658円 2,898,898円 3,715,238円
手取り(1か月あたり) 169,472円 241,575円 309,603円

経費は、売上が変わっても同じ額にしています。 走る距離を同じにしたためで、実際には売上を増やすために走る距離や時間が増えると、燃料費も増えます。

経費の982,794円の内訳は次のとおりです。

経費の項目 1年 計算
燃料費 297,219円 2,200km ÷ 15.1km/L × 170円 × 12か月
車の減価償却費 448,595円 1,343,100円 × 0.334(耐用年数3年の定額法の償却率)
車の税、自賠責、車検の手数料 16,980円 営業用の軽バンの1年あたりの額(年間維持費の計算例と同じ)
任意保険 100,000円 仮に年10万円とした
そのほかの経費 120,000円 仮に月1万円とした(携帯電話の通信費、オイル交換など)

税と社会保険料の合計は、売上が月30万円のときは「売上 − 経費」の約22%、月50万円のときは約26%です。 所得税は所得が増えるほど税率が上がり、国民健康保険の所得割(新宿区は合わせて10.58%)と住民税の10%も所得に比例してかかるため、売上が増えるほど引かれる割合が上がります。 個人事業税は、青色申告特別控除を引く前の所得が290万円を超えた分にかかるので、売上が月30万円の例では0円です。

計算例の前提

上の計算例の前提を、すべて並べます。 ガソリン単価と任意保険料は、公式に確かめられる値がないため、仮の値を置いています。

項目 前提 根拠
売上 月30万、40万、50万円(委託手数料を引く前) 例として置いた額
委託手数料 なし(0%) 例として置いた条件
車の用意の仕方 購入(新車)。スズキ エブリイ PA の価格1,343,100円(税込)を取得価額とする スズキの公式サイト(2026年10月21日に確認)
減価償却 耐用年数3年(運送事業用の軽貨物)、定額法の償却率0.334。12か月分 減価償却資産の耐用年数等に関する省令
ローンの利息 なし 例として置いた条件
走行距離 月2,200km(1日100km × 22日) 例として置いた条件
燃費 15.1km/L エブリイの WLTC 燃費の幅(15.1〜17.2km/L)の下限
ガソリン単価 仮に1Lあたり170円とした場合 公式の値は確かめられていない(編集部の仮定)
車の税、自賠責、車検の手数料 年16,980円 営業用、13年以内、2026年11月以後の自賠責、持込検査
任意保険料 仮に年10万円とした場合 黒ナンバーの保険料の公式の例は見つかっていない(編集部の仮定)
そのほかの経費 仮に月1万円とした場合 編集部の仮定
青色申告特別控除 65万円 国税庁 No.2072
年齢と世帯 35歳、本人1人の世帯、扶養する家族なし 例として置いた条件
国民健康保険 東京都新宿区の2026年度の料率 新宿区の公式ページ(編集部の仮定として使う)

国民健康保険は、2026年分の所得にかかる保険料が2027年度の料率で決まりますが、2027年度の料率はまだ公表されていません。 そのため、2026年度の料率をそのまま当てはめています。 所得の低い世帯の均等割の軽減も入れていません。

ガソリン単価は、資源エネルギー庁の石油製品価格調査で毎週公表されています。 任意保険料は、損害保険料率算出機構の統計で軽四輪の貨物車の1台あたりが約4万4千円になりますが、自家用と営業用を合わせた値なので、黒ナンバーの保険料の目安には使えません。 自分の給油の価格と保険の見積もりの額を入れると、計算例より実際に近い額になります。

上位の記事で手取りの額が割れている理由

「軽貨物 手取り」で上位に出る記事では、売上50万円のときの手取りが、約30万円前後、約33万〜36万円、約41.2万円と、記事ごとに違います(2026年10月19日に検索して確認)。 どれかが計算を誤っているというより、引いたものと車の費用の扱いが違うと考えると、この差の大部分を説明できます。

同じ売上50万円で、前提を一つずつ変えると、1か月あたりの額は次のように変わります。

前提の違い 1か月あたり 計算例との差
税と社会保険料を引く前(売上 − 経費) 418,101円 +108,498円
計算例(購入、委託手数料なし、青色65万円、35歳) 309,603円 ―
委託手数料を仮に10%とした場合 276,418円 −33,185円
車をリースにし、仮に月25,000円(税、自賠責、車検の手数料を含む)とした場合 318,758円 +9,155円
持っている車を使い、車の購入費やリース料がない場合 334,406円 +24,803円
青色申告特別控除を受けない(白色申告) 288,564円 −21,039円
45歳(国民健康保険に介護分が加わる) 302,047円 −7,556円

いちばん大きいのは、税と社会保険料を引くかどうかの差で、月に約10.8万円違います。 「約41.2万円(税、社会保険の前)」と書いた記事は、売上から経費だけを引いた額を手取りと呼んでおり、この表の418,101円に近い額です。 30万円前後や33万〜36万円という額は、税と社会保険料まで引いた額と見られ、この表で前提を一つずつ変えた額(月約27.6万〜33.4万円)に近い水準です。 ただし、元の記事には前提がすべては書かれていないので、どの前提の違いで額が変わったのかは確かめられません。

経費に何を入れるかでも額が動きます。 委託手数料が10%なら月5万円が売上から引かれ、税と社会保険料が少し下がるのを差し引いても、手取りは月約3.3万円減ります。 委託手数料を入れない記事と入れる記事を比べると、それだけで数万円の差になります。

車の費用の扱いは、記事に書かれていないことが多い前提です。 購入した車の減価償却費、リース料、持っている車で費用0円のどれを入れたかで、この例では最大で月約2.5万円違います。 購入の減価償却は耐用年数の3年で終わるので、4年目からは経費が減り、手取りの計算の上では額が増えます(そのぶん所得が増えて、税と社会保険料も上がります)。

上位の記事の多くは、ドライバーを募集する運送会社やリース会社の記事で、どの記事も前提を入れ替えて試せる形にはなっていませんでした。 記事の額を読むときは、売上から何を引いた額なのか、車の費用と委託手数料が入っているかを先に確かめると、自分の条件と比べられます。

手取りの額を読むときに気をつけること

手取りの計算は1年分の目安で、お金が出入りする時期とは一致しません。 次の3つは、開業した年の手元のお金に大きく影響します。

住民税、国民健康保険、個人事業税は、その年の所得をもとに翌年度にかかります。 開業した年は前年の所得(会社員なら給与)で決まった額を払い、軽貨物の所得にかかる額は翌年から払います。 計算例では、計算した年の所得にかかる額を同じ年の負担として引いています。

車を一括で買うと、買ったときに代金を払いますが、経費になるのは毎年の減価償却費です。 ローンで買う場合も、経費になるのは利息だけで、元金の返済は経費になりません。 購入の例の手取りは、税金を計算するための額で、ローンの返済を払った後に手元に残る額とは違います。

報酬が入る時期も委託元で違います。 たとえば Amazon Flex は、規約では配達完了後15日以内、運用では毎週水曜日に前の週の分を支払い、ハコベルは月末締めの翌月25日払いと公式に書いています(2026年10月21日に確認)。 開業の前に、最初の報酬が入るまでの燃料代や保険料を払えるかを確かめてください。

自分の条件で手取りを計算するには

上の計算例は、決まった前提の例です。 売上(月の額、単価と個数と稼働日数、求人に書かれた額のどれか)、委託手数料、車の用意の仕方、走行距離、燃費、ガソリン単価、任意保険料、年齢、住んでいる市区町村の国民健康保険の料率を入れて、自分の手取りを出すには手取りの計算を使います。 計算式と、簡略化した点も、計算のページに全文を載せています。

条件を入れる前に、次の記事で数字の確かめ方を見ておくと、入れる値を決めやすくなります。

よくある質問

軽貨物で売上が月50万円のとき、手取りはいくらですか?
この記事の前提では、1年の手取りは約372万円で、1か月あたり約31万円です。新車の軽バンを買って3年で償却し、委託手数料がなく、月2,200km走り、青色申告特別控除65万円を受ける35歳の人が、東京都新宿区の国民健康保険に入っている場合の目安です。前提が変わると額は大きく変わります。
手取りの額が記事によって違うのはなぜですか?
売上から何を引いているかが記事ごとに違うからです。経費だけを引いた額(この記事の前提では月約41.8万円)を手取りと書く記事と、税と社会保険料まで引いた額(月約31万円)を手取りと書く記事があります。委託手数料や車の費用を経費に入れるかどうかでも、額が変わります。
国民健康保険料は、住んでいる市区町村で変わりますか?
変わります。国民健康保険料の率と均等割の額は市区町村ごとに決まっています。この記事の計算例は東京都新宿区の2026年度の料率を例にしているので、ほかの市区町村に住む人は、手取りの計算で自分の市区町村の料率に書き換えてください。
手取りの計算で、車のローンの返済は経費に入りますか?
入りません。経費になるのは、車の減価償却費とローンの利息です。ローンの元金の返済は経費にならないので、手元に残るお金と、税金を計算するときの所得は一致しません。

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