軽貨物の仕事に使う車は、新車を買う、中古を買う、リースする、レンタルする、手持ちの車を持ち込む、の5通りで用意できます。 どの方法でも、車は運輸支局への経営届出に載せ、黒ナンバー(事業用のナンバー)を付けて使います。 方法ごとに違うのは、開業時にまとめて払う額、毎月払う額、税と保険を誰が払うか、黒ナンバーにできるか、やめるときに車をどうするかの5点です。
開業時の支払いが小さいのは、リース、レンタル、持ち込みです。 ただし、リースとレンタルは毎月の支払いが続くため、続ける期間によって、買った場合とどちらの総額が小さいかが変わります。 何年続けるかを決めて、その期間の総額で比べると判断しやすくなります。 新車、中古、リース、持ち込みの開業時の額と5年の総額は、開業資金と5年の総額の計算で出せます。
この記事の税と保険の額は、法令と公的機関の資料で2026年10月21日に確かめた値です。 リースの月額の比較と、リース会社の紹介はしていません。
5通りの用意の仕方の比較
5通りの用意の仕方を、開業時の支払い、毎月の支払い、税と保険、黒ナンバー、やめるときの扱いで並べました。
| 用意の仕方 | 開業時の支払い | 毎月の支払い | 税と保険を払う人 | 黒ナンバーにできるか | やめるときの車 |
|---|---|---|---|---|---|
| 新車を買う | 車の価格(ガソリンの軽バンで1,155,000〜2,269,300円)と、登録の費用、自賠責、重量税。ローンなら頭金 | 一括で払えば、車の支払いはない。ローンなら返済 | 自分 | できる。経営届出をしてから、新車の登録で黒ナンバーを受ける | 自分の車として残る。売るか、自家用のナンバーに戻して使う |
| 中古を買う | 車の価格と、名義やナンバーの変更の費用 | 一括で払えば、車の支払いはない。ローンなら返済 | 自分。13年を超えた車は税が重くなる | できる。今の車検はそのまま引き継げる | 新車と同じ |
| リース | 頭金なしのプランがある。申込金がかかるプランもある | リース料 | 契約で決まる。税、自賠責、車検の費用を月額に含めるプランがある | リース会社とプランによる。申込みの前に確かめる | 契約が終われば返す。プランによっては車をもらえる。途中でやめるときの扱いは契約で決まる |
| レンタル | レンタル会社の条件による | レンタル料 | レンタル会社の条件による | 黒ナンバーの車として借りられるかを確かめる | 返す。期間と解約の条件はレンタル会社ごとに違う |
| 手持ちの車を持ち込む | 黒ナンバーへの変更の費用(ナンバープレート代など) | 車の支払いはない | 自分。営業用の税額に変わる | できる。軽乗用車(5ナンバー)も使える | 自家用のナンバーに戻して使う |
どの方法でも、燃料費、任意保険料(リースやレンタルで料金に含まれる場合を除く)、開業の手続きの費用は別にかかります。 2025年4月の改正で、1人で事業をする人も貨物軽自動車安全管理者を選び、講習を受けることになりました。 届出から黒ナンバーまでの順番は「軽貨物の開業の手続き」に、講習と適性診断の費用は「貨物軽自動車安全管理者とは」に載せています。
黒ナンバーへの変更でかかるナンバープレート代と関係団体の手数料は、地域ごとに違います。 軽自動車検査協会は金額をページに載せておらず、近くの関係団体に問い合わせるよう案内しています。
黒ナンバーにすると、税と保険はどう変わるか
黒ナンバーの軽バンは、自家用の軽バンより軽自動車税が安く、エコカー以外なら重量税も安くなります。 自賠責には営業用と自家用の区分がなく、同じ保険料です。
| 項目 | 営業用(黒ナンバー) | 自家用 |
|---|---|---|
| 軽自動車税(軽バン、年額) | 3,800円 | 5,000円 |
| 軽自動車税(軽乗用車、年額) | 6,900円 | 10,800円 |
| 重量税(車検のとき2年分、エコカー以外) | 5,200円 | 6,600円 |
| 自賠責(24か月、2026年11月1日以後に始まる契約) | 18,660円 | 18,660円 |
軽自動車税は地方税法の標準税率で、市町村は1.5倍まで高くできます。 表の軽自動車税は、2015年4月1日以後に最初の車両番号の指定を受けた車の額です。 2015年3月31日までに指定を受けた車は、軽バンが営業用3,000円、自家用4,000円、軽乗用車が営業用5,500円、自家用7,200円です(13年を超えて重課の対象になった車を除く)。 軽自動車税は毎年4月1日の時点の持ち主にかかるため、年度の途中で買った車には、その年度の軽自動車税はかかりません。 自賠責は、2026年10月31日までに始まる契約なら17,540円です。
経営届出のときには、自賠責に加えて、任意保険の締結などで損害を賠償できることを宣誓します。 営業用の軽貨物の任意保険料は、公的な統計で確かめられませんでした。
税と自賠責の改定前と後の表と、13年を超えた車の額は「営業用の軽貨物の税金と自賠責」に、車検を含む1年あたりの額は「軽貨物の年間維持費」にまとめています。
新車で買うときに開業時に払う額
新車で買うときは、車の価格に加えて、登録のときの税と保険と費用を払います。
- 車の価格:ガソリンの軽バン6車種のメーカー希望小売価格は1,155,000〜2,269,300円、電気の軽バン(EV)は2,541,000〜3,234,000円(税込)。車種ごとの値は「軽バンの車種比較」
- 自賠責:新車の登録のときは25か月分が目安で、2026年11月1日以後に始まる契約なら19,170円
- 重量税:新車の新規検査で、事業用のエコカー以外は2年分5,200円。エコカー減税の対象車は、1,200円、2,500円、3,700円、本則の5,000円、免税のいずれかになる
- 環境性能割:2026年4月1日に廃止されたため、かからない
- 登録やナンバーの費用、リサイクル料金:販売店ごと、車ごとに違う
買った車は、減価償却で数年に分けて経費にします。 運送事業用の軽貨物の耐用年数は3年です(減価償却資産の耐用年数等に関する省令)。
中古で買うときに確かめる年式と税
中古の軽バンは、最初の登録から13年を超えると、軽自動車税と重量税が重くなります。
- 軽自動車税(営業用の軽バン):年3,800円が4,500円になる
- 重量税(車検のとき2年分、事業用):5,200円が、13年を超えると5,400円、18年を超えると5,600円になる
電気軽自動車など、軽自動車税の重課の対象にならない車もあります。 自家用の黄色ナンバーの中古車を買って黒ナンバーに変えるときは、車検を受け直す必要はなく、今の車検をそのまま引き継げます。
中古の車の耐用年数は、法定の耐用年数と経過した年数から求める簡便法で計算できます。 運送事業用の軽貨物(法定3年)に当てはめると、経過した年数にかかわらず2年になります。
リースで用意するときに確かめること
リースは、開業時の支払いを小さくできる一方で、契約の条件で総額と使い方が決まります。 申込みの前に、次の4点を確かめます。
- 黒ナンバーで契約できるか:黒ナンバー(営業用)での契約を受けるかは、リース会社とプランで違う。黒ナンバーで使うことを伝えて確かめる
- 月額に何が含まれるか:軽自動車税、重量税、自賠責、車検の費用、点検整備、任意保険のうち、どれが月額に含まれるか
- 走行距離の条件:月の走行距離を決めて契約するプランがある。自分の月の走行距離が、条件の範囲に入るかを確かめる
- 途中でやめるときの扱い:途中で解約できるか、解約するときにいくら払うかは、契約書で決まる
リースの月額は、何が含まれるかと契約の期間で変わるため、月額だけを並べて比べても総額の差は分かりません。 月額と契約の期間、月額に含まれるものを開業資金と5年の総額の計算に入れると、買った場合と同じ期間で比べられます。
仕事の紹介と車の契約がセットになっている勧誘
「仕事を紹介するので、この車をリースか購入で用意してほしい」という勧誘は、特定商取引法の業務提供誘引販売取引にあたる場合があります。 この取引にあたる場合は、契約の書面を受け取った日から20日以内なら、書面か電磁的記録で通知して契約を解除できる定めがあります(同法58条。対象となる人には条件があります)。 仕事の条件と車の契約は、分けて確かめてください。
レンタルで始めるとき
レンタルは、軽バンを月単位などで借りる方法です。 開業時の支払いが小さく、やめるときは車を返せば済むため、続けるかどうかを決める前の期間に使いやすい方法です。
ただし、運送の仕事に使う車には黒ナンバーが要ります。 借りる車が黒ナンバーの車として使える形で貸し出されるか、ナンバーの手続きを誰がするか、保険が料金に含まれるかは、レンタル会社の条件で決まります。 レンタル料は借りている間ずっと続くため、長く使うつもりなら、買う場合やリースと総額で比べます。
手持ちの車を持ち込むとき
手持ちの軽バン(黄色ナンバー)は、経営届出をしてから、軽自動車検査協会で黒ナンバーに変えて使えます。 車検は引き継げるので、受け直す必要はありません。 黒ナンバーにすると、軽自動車税は年5,000円から3,800円に(2015年3月31日までに最初の車両番号の指定を受けた車は4,000円から3,000円に)、次の車検の重量税(エコカー以外)は6,600円から5,200円になります。
軽乗用車(5ナンバー)で始めるときの条件
2022年10月27日から、軽乗用車も貨物軽自動車運送事業に使えるようになりました。 それまでは、最大積載量の記載がある車に限って届出を受け付けていましたが、2022年6月の規制改革実施計画を受けて、国土交通省が取扱いを変えました。
軽乗用車を使うときは、次の条件を守ります。
- 黒ナンバーに変える:軽バンと同じく、経営届出をしてから、軽自動車検査協会で事業用のナンバーに変える
- 積める重さ:(乗車定員−乗車人数)×55kgまで。定員4人の車に運転者1人だけなら165kg
- 積み方:荷物を運転席や客室の前方、後方、片側に極端に偏らせない
軽乗用車を黒ナンバーにすると、軽自動車税は年10,800円から6,900円になります(2015年3月31日までに最初の車両番号の指定を受けた車は7,200円から5,500円)。 定員4人の軽乗用車に1人で乗ったときの165kgは、軽バンの最大積載量(2名乗車時350kg)の半分以下です。 委託元によっては、軽乗用車の報酬を軽貨物車と分けて示しています(Amazon Flex は公式のページで、2025年4〜6月に関東圏で約4時間稼働した場合の想定として、軽貨物車は最大9,600円、黒ナンバーの軽乗用車は最大7,528円としています。2026年10月21日に確認)。
やめるときの手続きと車の扱い
軽貨物をやめるときは、車の扱いと届出の両方を片づけます。
- 買った車、持ち込んだ車:手元に残すなら、軽自動車検査協会で事業用から自家用のナンバーに変える。売る場合は、売る先と手続きを確かめる
- リース、レンタルの車:契約の条件に従って返す。期間の途中なら、解約の条件を確かめる
- 届出:事業に使う車が0台になるときは、運輸支局に廃止の届出を出す。制度上「休止」はなく、再開するときは改めて経営届出をする
状況ごとの考え方
用意の仕方は、何年続けるかと、開業時にいくら出せるかで考えます。
- 副業で、まず数か月だけ試したい:手持ちの車の持ち込みかレンタルなら、やめるときに車を売る必要がない。軽乗用車なら積める重さ(165kgなど)が仕事に足りるかを先に確かめる
- 開業時の支払いを小さくして長く続けたい:リースか、ローンでの購入。月額と期間で総額を開業資金と5年の総額の計算に入れて比べる
- 車の費用を安く抑えたい:中古車は価格が安いぶん、13年を超えると税が重くなる。年式と走行距離、次の車検までの期間を合わせて見る
- 走る距離が長い:燃料費の差が大きくなる。車種ごとの燃費と燃料費の差は「軽バンの車種比較」で計算している
車の費用が決まったら、売上から燃料費、車の費用、税金を引いて、手元にいくら残るかを軽貨物の手取りの計算で確かめられます。