収入と手取り

軽貨物の経費の内訳|燃料、車両、保険、税金

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開業して最初の確定申告を控えている
ガソリン代のほかに、何が経費になりますか?自分の車を仕事にも使っているので、どこまで入れてよいか分かりません。
編集部
車の減価償却費、税金、保険、車検、携帯電話の通信費などが経費になります。私用と兼ねるものは、業務に使った分だけです。

軽貨物ドライバーの経費になる主なものは、燃料、車の減価償却費かリース料、車の税と自賠責と任意保険、車検と整備、駐車場、高速代、携帯電話の通信費、安全管理者講習と適性診断の費用です。 私用にも使う車や携帯電話は、業務に使った割合の分だけが経費になります。 所得税、住民税、国民年金、国民健康保険の保険料、車のローンの元金の返済は経費になりません。

国税庁は、経費(必要経費)を「総収入金額を得るために直接要した費用」と「業務上の費用」としています。 この記事は、国税庁のタックスアンサー(2026年10月21日に確認、令和8年4月1日現在の法令等)と、減価償却資産の耐用年数等に関する省令をもとに、軽貨物でよく出てくる費用を当てはめたものです。 個別の支出の扱いに迷うときは、税務署か税理士に確かめてください。

軽貨物の経費の一覧

軽貨物の事業でよく出てくる費用を、経費になるか、どう入れるかと一緒に並べました。

費用 経費になるか 入れ方
燃料(ガソリン) なる 業務で走った分。私用と兼ねる車は業務の割合で分ける
車の購入代金 減価償却費としてなる 耐用年数で分けて毎年経費にする(次の節)
車のローンの利息 なる 業務用の資産を買うための借入金の利息
車のローンの元金の返済 ならない 車の代金は減価償却費として経費にするので、返済額は入れない
車のリース料 契約の形による 次の節を参照
軽自動車税、重量税 業務に使う分がなる 私用と兼ねる車は業務の割合で分ける
自賠責保険料、任意保険料 業務に使う分がなる 同上
車検の手数料、点検整備、修理 なる 業務用の車の修繕の費用
駐車場代、高速代 業務の分がなる 自宅の駐車場を私用と兼ねるなら業務の割合で分ける
携帯電話の通信費と端末 業務の分がなる 私用と兼ねるなら業務の割合で分ける
安全管理者講習、適性診断 なる 講習は3,300〜3,700円(eラーニングの3機関)、初任診断は4,800円(NASVA)
アルコール検知器、台車、制服など なる 10万円未満のものは買った年に全額を経費にできる
委託手数料 なる 売上から差し引かれる分
個人事業税 なる 全額
所得税、住民税 ならない 国税庁 No.2210
罰金、科料、過料 ならない 国税庁 No.2210
国民年金、国民健康保険の保険料 ならない 所得から引く社会保険料控除として扱う

経費に入れた支出は、領収書やカードの明細などの記録を残しておきます。 経費になるのは、その年に支払うことが決まった(債務が確定した)額で、支払った年と債務が確定した年がずれるときは、確定した年の経費になります。

車の費用は、買ったかリースかで入れ方が違う

車の費用は、軽貨物の経費の中で額が大きく、入れ方を誤ると所得が大きくずれます。 買った車とリースの車で、経費にする方法が違います。

買った車は減価償却で経費にする

10万円以上の車は、原則として買った年に代金の全額を経費にはできず、耐用年数で分けて毎年の減価償却費を経費にします。 例外として、一定の要件を満たす青色申告者は、取得価額が40万円未満(2026年3月31日までに取得したものは30万円未満)の資産を、買った年に全額経費にできる特例があります(国税庁 No.2100)。 運送事業用の軽貨物の車の耐用年数は3年で、運送事業用でない軽自動車は4年です。

車 耐用年数 定額法の償却率 1年の減価償却費の例(取得価額1,343,100円)
運送事業用の新車 3年 0.334 448,595円
運送事業用の中古(簡便法) 2年 0.500 671,550円
運送事業用でない軽自動車 4年 0.250 335,775円

3行とも同じ取得価額で比べています。 例の取得価額は、スズキ エブリイ PA のメーカー希望小売価格の最も安い額(税込、2026年10月21日に確認)で、計算は1円未満を切り捨てています。

中古の車は、使える期間を見積もるのが難しいときに、簡便法で耐用年数を出せます。 法定耐用年数の一部を過ぎた車は「(法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20%」、全部を過ぎた車は「法定耐用年数 × 20%」で、1年未満は切り捨て、2年に満たないときは2年です。 運送事業用の軽貨物は法定耐用年数が3年と短いので、どの経過年数の中古でも2年になります。

年の途中で車を使い始めた年は、1年分の減価償却費を12で割り、業務に使った月数を掛けます。 償却の方法は、届け出なければ法定の方法(一般には定額法)になります。

軽貨物の車の減価償却
項目値補足出典
耐用年数(運送事業用の軽貨物)3年「運送事業用、貸自動車業用又は自動車教習所用の車両及び運搬具」の自動車の小型車(貨物自動車は積載量2トン以下)[1]
耐用年数(運送事業用でない軽自動車)4年「前掲のもの以外のもの」の自動車の小型車(総排気量0.66リットル以下)[1]
定額法の償却率2年 0.500、3年 0.334、4年 0.250償却方法を届け出なければ、法定の方法(一般には定額法)になる。年の途中で使い始めたら、使った月数で月割にする[1][2][3]
中古の耐用年数(簡便法)(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×20%法定耐用年数をすべて過ぎた車は法定耐用年数×20%。1年未満は切り捨て、2年未満は2年。運送事業用(法定3年)の中古の軽貨物は、経過年数によらず2年になる(計算値)[1][4]

※簡便法は、使える期間を見積もるのが難しいときに使えます。事業に使うための改造などの費用(資本的支出)が取得価額の50%を超えるときは使えません。

出典(確認日 2026.10.21)

  1. [1] laws.e-gov.go.jp/law/340M50000040015
  2. [2] www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm
  3. [3] www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2106.htm
  4. [4] www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5404.htm

リース料の扱いは契約の形で確かめる

リースの車は、毎月のリース料を経費にする方法と、買った車と同じように償却する方法のどちらになるかが、契約の内容で変わることがあります。 個人事業主のリース料の扱いを説明した国税庁のタックスアンサーのページは、2026年10月21日時点で確かめられませんでした。 契約書を手元に置いて、税務署か税理士に扱いを確かめてください。

リース料に税金、自賠責、車検の費用が含まれる契約では、その分を別に経費に入れると二重になります。 契約の月額に何が含まれるかを、契約書で確かめておきます。

持っている車を使う場合

開業の前から私用で持っていた車を軽貨物に使い始めた場合、減価償却の計算には、私用で使っていた期間をどう扱うかが加わります。 この記事では、その計算方法を国税庁の資料で確かめていないので、税務署か税理士に確かめてください。

私用と兼ねる車と携帯電話の家事按分

自分の車で配達し、休みの日には同じ車で買い物に行くように、業務と私用の両方にかかわる費用を、国税庁は「家事関連費」と呼んでいます。 家事関連費のうち経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務に直接必要だったことが明らかに区分できる部分だけです。 業務と私用で分けることを、家事按分と呼びます。

軽貨物では、車の費用を分ける根拠に、走行距離を使えます。 2025年4月の改正後、軽貨物の事業者は業務のたびに、業務の開始と終了の地点と日時、走行距離などを業務記録に書き、1年間残すことになっています。 この記録の業務の走行距離と、車全体の走行距離(給油の記録やメーターの値)から、業務に使った割合を出せます。

たとえば、1か月に車全体で2,500km走り、業務記録の走行距離の合計が2,200kmなら、業務の割合は88%です。 この割合を、燃料費、車の減価償却費、軽自動車税、保険料などに掛けて、経費に入れる額を出します。 黒ナンバーにした軽バンを業務だけに使うなら、按分はいりません。

携帯電話は、配達アプリや委託元との連絡に使う時間や通信量などから、業務の割合を決めます。 国税庁の資料に携帯電話の割合の決め方は書かれていないので、自分で決めた割合と、その根拠(使った時間の記録など)を残しておきます。

経費にならない税金と保険料

税金のうち、経費になるものとならないものは、国税庁 No.2210 に書かれています。 個人事業税は全額が経費になりますが、所得税と住民税は経費になりません。

国民年金と国民健康保険の保険料も経費ではなく、売上から経費を引いた所得から差し引く「社会保険料控除」として扱います(国税庁 No.1130)。 経費と控除は、所得税を減らす点では似ていますが、個人事業税の計算では社会保険料控除を引かないので、どちらに入れるかで税額が変わります。 このサイトの手取りの計算も、国民年金と国民健康保険を経費ではなく社会保険料控除として計算しています。

車の軽自動車税、重量税、自賠責保険料について、国税庁 No.2210 に車の税の明示の記載はありません。 家事関連費の原則に当てはめると、業務だけに使う車なら全額、私用と兼ねる車なら業務の割合の分が経費になります。

1か月の経費の計算例

軽貨物ドライバーの手取りの計算例(新車の軽バンを買い、月2,200km走る場合)では、1年の経費は982,794円、1か月あたり約8.2万円でした。

経費の項目 1年 1か月あたり 前提
燃料費 297,219円 24,768円 2,200km ÷ 15.1km/L × 仮に170円/L
車の減価償却費 448,595円 37,383円 1,343,100円 × 0.334
車の税、自賠責、車検の手数料 16,980円 1,415円 営業用の軽バン、13年以内、2026年11月以後の自賠責、持込検査
任意保険 100,000円 8,333円 仮に年10万円とした場合
そのほかの経費 120,000円 10,000円 仮に月1万円とした場合
合計 982,794円 81,899円

この例では、車の減価償却費が経費の約46%を占めます。 減価償却は耐用年数の3年で終わるので、4年目からは経費が年約45万円減り、そのぶん所得と税金が増えます。 車の税、自賠責、車検の手数料の内訳は「軽貨物の年間維持費」で確かめられます。

帳簿の付け方と青色申告

青色申告で、正規の簿記の原則(一般には複式簿記)で帳簿を付け、貸借対照表と損益計算書を期限までに出すと、青色申告特別控除55万円を受けられます。 さらに、e-Tax で申告するか、優良な電子帳簿の要件で帳簿を保存すると65万円になります。 それ以外の青色申告者は10万円です。

複式簿記の帳簿は、表計算ソフトでも会計ソフトでも付けられます。 次の2つは、個人事業主の帳簿と確定申告の書類を作れる会計ソフトの例です。 料金、機能、対応する申告の方法は、申込みの前に公式サイトで確かめてください。

freee会計(個人事業主向け)

個人事業主向けの会計ソフトです。料金と機能は公式サイトで確かめてください。

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マネーフォワード クラウド確定申告

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自分の経費で手取りを計算するには

経費の額が分かったら、売上から引いて、税金と社会保険料まで引いた手取りを出します。 手取りの計算では、車の用意の仕方(購入、リース、レンタル、持ち込み)と耐用年数、走行距離と燃費、ガソリン単価、任意保険料、そのほかの経費を入れられます。 私用と兼ねる車は、業務の割合を掛けた後の額を入れてください。

土日だけ配達する会社員の経費と申告の扱いは「土日だけの副業で軽貨物はいくら残るか」にまとめています。

よくある質問

軽貨物の車は、何年で減価償却しますか?
新車で買った運送事業用の軽貨物の車は、耐用年数3年で償却します。定額法の償却率は0.334です。中古の車は、簡便法を使うと経過年数にかかわらず2年(償却率0.500)になります。年の途中で使い始めた年は、使った月数で月割にします。
私用にも使う車の費用は、全額を経費にできますか?
できません。国税庁は、業務と私用の両方にかかわる費用(家事関連費)のうち、取引の記録などから業務に直接必要だったと明らかに区分できる部分だけが経費になるとしています。軽貨物では、業務の記録に残す走行距離を使って、業務に使った割合を出す方法があります。
国民年金と国民健康保険の保険料は経費になりますか?
経費にはなりません。国民年金と国民健康保険の保険料は、売上から経費を引いた後の所得から差し引く社会保険料控除として扱います。所得税と住民税も経費にはなりませんが、個人事業税は全額が経費になります。

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